ファルク・リヒター演出の歌劇「エフゲニー・オネーギン」 ― 2008/04/23
今年度のオペラの森のテーマは「チャイコフスキーとその時代」でオペラを中心に協奏曲や室内楽の公演、展示など多枝に亘って紹介された大イベントである
オペラ公演については、1878年に完成した歌劇「エフゲニー・オネーギン」がとりあげられており、東京のオペラの森とウィーン国立劇場との共同制作のものが上演された
オペラの指揮者は小澤征爾氏で舞台演出は 新鋭の演出家であるFalk Richter氏であった
同名のプーシキンの韻文小説を基に作られたチャイコフスキーのこの歌劇は第3幕よりなっている
第1幕はタチヤーナ(姉)とオルガ(妹)の住んでいるところにオルガを崇拝するレンスキーが、彼の友人(オネーギン)を連れてきたことで、タチヤーナの心が揺れる
第2幕はタチヤーナの命名日を祝った宴会で、オリガを巡りレンスキーとオネーギンが絶交し決闘を申し込むという事態になる。結局、決闘場でレンスキーは死を迎えるという展開になっている
第3幕は放浪の旅から戻ったオネーギンがグレーミン公爵と結婚したタチヤーナと再会する
タチヤーナはオネーギンを愛してはいるのに気付くが、公爵と共に過ごすことを決め、オネーギンは一人残されることとなる
第1幕のタチヤーナのオネーギンに宛てた手紙を書く際に歌われたアリア、第2幕で決闘の場で歌われるレンスキーのアリア、第3幕でグレーミン公爵のバスで歌われたアリアなど印象的であった
また、ファルク・リヒターの演出には、意表を突かれた思いであった
簡素な演出で全幕を通じ寒々として冷え切った情景として、華やかである宴会の場にしても一切派手な舞台装置でなく上から吊るされているシャンデリアも氷柱を連想させる雰囲気を醸し出していた
いま、この歌劇をより理解するため、原作であるプーシキンの韻文小説「エフゲニー・オネーギン」の和訳本を読んでいます
プーシキン自身、妻に手を出したフランス士官 G.ダンデスと決闘して瀕死の重傷で2日後に命を落としています
オネーギンはかなりプレイボーイ的な感じのする人物で、このような者が決闘で勝ってしまうのは切ないですね
プーシキンも天国?で、なんで僕が決闘で死ななければならなかったのか!
と嘆いているかも知れません?
このブログを記載するにあたり、下記の資料を参考にしました
東京のオペラの森2008のプログラム
名作オペラ・ブック25「チャイコフスキー エウゲニ・オネーギン」音楽の友社
完訳 「エヴゲーニイ・オネーギン」プーシキン 小澤政雄訳 群像社
コメント
_ BIN★ ― 2008/04/25 11:39
_ ほそもり ― 2008/04/26 23:00
コメントありがとうございました。
BIN★さんのブログを拝見したところ、話題が多方面にわたっておられるのには感心しました。
そういえば、昨年夏のブログ記事で周期律表からユニークな発見をされたというお話しもありましたね。
これからもよろしくお願いします。
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オペラは二度ぐらいTVで中継しているのを見たことがあります。舞台装置は、伝統的なもののようでしたよ。
ファルク・リヒター演出のものは見てみたいですね。小沢さんの指揮も。